「成城 学びの森」コミュニティー?カレッジ
講義内容
スカーフを被ったムスリム女生徒が退学させられた時、もはやフランスは人権の国ではないと非難する声があった。2005年の郊外暴動では移民の社会統合が過ちだったという声も聞かれた。2015年のパリ同時多発テロを経て、ついにフランスは内向きになったのだろうか。現地で寛容を貫く人々の言葉を紹介する。講師の専攻に従って、日本語に訳されていない小説、ルポルタージュ、学術書を紹介する。教科書は「イスラム化」という刺激的な論点を題名に挙げているが、読んでみるとヨーロッパのメディアと政党に、クールダウンを呼びかけているようだ。
<テキスト>
三井美奈著『イスラム化するヨーロッパ』新潮新書 本体720円+税 ISBN-13: 978-4106106491
※テキストは各自でお買い求めいただき、講座時にご持参ください。
各回テーマ
(1) イスラム化という妄想、共存という幻
(2) フランスの若者たち
(3) ヴェール(スカーフ)論争を読み解く
(4) 北アフリカ出身の小説家が見た移民第2世代
(5) マルセイユの移民街ルポ
(6) それでも未来にウィ(イエス)と言う
講師紹介
専攻:フランス文学
昨年、日仏会館で公開討論「統合のフランスか、人種差別のフランスか」のパネリストをしました。この時、官費留学生としてソルボンヌで学びながら、それなりに特権と差別を味わった1980年代後半が、自分にとってフランスの原点だと感じました。これが講義のきっかけです。大学でしていることは、主に文献の紹介と解題ですが、教室で出された質問に、次回の授業で答えるよう心がけています。