「成城 学びの森」コミュニティー?カレッジ
講義内容
日本でもフランスでもカミュの小説『異邦人』(1942)はロングセラーです。裁判長の問いに、主人公が「太陽のせいで」と動機を答えたのが印象的です。でも、「実存主義」「不条理」「動機なき殺人」という読みは、テロリズムの脅威が日々感じられる今も有効でしょうか。主人公が植民地アルジェリアの陪審制度のもとで死刑を宣告された理由を、もう一度考えてみようと思います。
<テキスト>
A.カミュ著、窪田啓作訳『異邦人』新潮文庫 本体460円+税
※テキストは各自でお買い求めいただき、講座時にご持参ください。
各回テーマ
(1) 75年後の『異邦人』:ジャーナリスト時代のカミュ
(2) 恋人マリーと悪友レエモンの見た主人公
(3) 機械?:陪審員、自動人形の女、ペレス老人
(4) 大事な脇役:養老院長、検事、弁護士
(5) 小説に書かれた(書かれていない)アラブ人
(6) 法廷小説としての第2部:主人公は死刑に値するか
講師紹介
専攻:フランス現代文学
2015年秋、同時テロのパリで、留学中の私はアルジェリア出身の小説家、カメル?ダウーの『ムルソー、裏付け調査』(2014)を読みました。兄を殺された弟が、フランス人を無差別殺人する予感で終わる物語です。かくありえた『異邦人』の結末を、皆さんと考えるために、このテーマを選びました。