成城大学

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  • 2024.01.15

    ソーシャルグッドを実現するためのイノベーティブなアイデアを提案
    NTTデータの協力によるキャリア教育の実践

 成城大学では、株式会社NTTデータ(以下;NTTデータ、敬称略)の協力によりキャリア教育科目を開講しています。対象となる「プロジェクト演習〈企業提案〉」(正課科目 全学部?1,2年次対象 後期開講1))では、NTTデータソーシャルデザイン推進室2)の岡本守弘氏と森田寛彦氏を招聘し、社会の現状とNTTデータの取組みについて学び、テーマ『社会課題を自ら設定しデジタル技術を絡めた解決策を提言』にむけて活動を行いました。社会課題については、学生全員で話し合い、「教育DX」、「伝統工芸の継承」、「学生食堂DX」、「地域?スポーツツーリズム」、「災害のアフターケア」を設定し、編成されたチームごと有識者へのヒアリングや、アンケート調査等を行いました。
 プレゼンテーションは12月22日(金)に、学内グローバルラウンジにて、”屋台村形式3)”で実施しました。当日はNTTデータ岡本氏、森田氏と、本学学長、キャリアセンター長、教職員が各発表ブースを巡回し、それぞれの課題の解決に向けて語りあいました。提案した内容は、会の当日で完結するのではなく、翌回の授業でフィードバックを得て課題を整理し、ブラッシュアップしながら今後に繋げていきます。
 また、この授業では第2回と第15回(最終回)に、全員が個々に「自らのソーシャルグッドな行動」を宣言し、互いの考えを聴きながら、ソーシャルデザインの当事者としての意識を形成していきます。

学生のコメント1(抜粋)
設定したテーマ:被災者の心のアフターケア

 私たち災害チームが大きく抱えた「災害」という社会課題のテーマは最初、私が提案して掲げたものでした。「災害」のテーマはもともと危機管理学に興味のあった私が一番向き合って考えることのできそうなテーマであると考えたからです。そのため、災害という危機からより規模の大きい被害を増やさないためにも、災害前の対策として何かできることはないかとグループで考えを重ねてきました。しかし、私たち大学生だから考えることのできる視点や実際にインターネットで災害について調べてみて、いかに災害後のアフターケアが大切であるかどうかを学ぶことができました。「震災から10年経った今でも精神的な問題はむしろ潜伏していっている」そんな被災者の方の声を聴いたからです。また、NHKさんの性被害に関するニュースではなかなか表に出てくることのなかった「避難所での性被害」の事実が被災者の方の心をさらに傷つけていると考えたからです。
 このように世間では気づかれにくく一般的に明るみに出ていない被災者の方の本当の心の傷に少しでも寄り添うため、私たちはこの社会課題に真剣に取り組みたいと考えました。 
そんな思いが今日の私たちのプレゼンテーションで伝わっていればいいなと思います。

学生のコメント2(抜粋)
設定したテーマ:地域活性化×スポーツ

 私たちの班は2人で発表を回していたので大変でしたが、その分ピッチのクオリティを維持して発表できたのかなと思っています。
 最後に岡本さんのもっと意気込みや思いを聞きたいってお話があってそれぞれの班から一言ありましたが、そこの部分について僕の思いをもう少し書きたいと思います。
 僕は最後のところで何においても本気でやればなんとかなるし、結果に繋がると話をさせてもらいました。これは実際に体感したり、見たりしたことです。そして当たり前のことであると思うんです。僕が今回のプロジェクトでスポーツを組み込んだのは東京ヴェルディというサッカークラブのサポーターを始めたことがきっかけでした。ヴェルディはかつてJリーグが開幕した頃、ラモス選手や三浦知良選手など当時の日本代表を象徴する選手たちが集まったクラブでした。開幕初年度と翌年の2年連続で優勝を果たし、当時の最強クラブだったと言われています。そんなクラブは次第に低迷してクラブ倒産危機にも陥ったことがあります。そんなクラブは16年の時を超えて、今年再びJ1への昇格を掴みました。昇格までの半年間を毎試合スタジアムに行きながら見ていましたが、選手はもちろん監督やスタッフ、そしてサポーターが全員本気で昇格一つを目指して戦い続ける姿を見ていました。昇格をかけた最後の試合、ヴェルディは残り2分で試合終了のタイミングでゴールを決め昇格を掴み取りました。正直試合を見ていた多くの人が諦めていたかもしれません。しかし選手は誰も諦めてなかった。丁寧にボールを繋いで、全員がハードワークしていました。それがこの結果に繋がったんです。試合が終わった時、選手、監督、サポーターみんなが泣いて抱き合ってました。半年しかチームを見ていない僕でしたが涙が出て、16年間の想いの重みを空気で体感しました。
 少し長くなってしまいましたが、本気って当たり前の話ですが、すごい力を持っていると思うんですよ。もちろんすぐに結果は出ないかもしれないし、何年もかかるかもしれない。でも絶対なんとかなるし何かに繋がる。そう思ってますし、そう信じてないと頑張れないと思います。ひとりの本気で大きなパワーですがそれが集まったらどんなパワーになるのでしょうか。どんなことでもできると思います。
 今回の町おこし、地方スポーツクラブの繁栄、そして他のグループのプロジェクト。どれも本気でやれば必ず盛り上がるし社会が変わる一歩になると思います。

NTTデータソーシャルデザイン推進室 部長 岡本守弘氏よりコメント
 今回のプログラムは特別に用意したものではなく、NTTデータのソーシャルデザイン推進室のミッションでもある「社会課題を解決する新規ビジネスを企画する」を学生の方々に実践してもらいました。学生ならではの視点で様々な社会課題が設定され、ビジネスとしての規模や実現性については濃淡あるものの、悩みながらもいったん解決案を導き出すことができたのは大きな収穫でした。誰に、何を、どのように提供するのか、あなたはどんな世界にしたいのか — シンプルなことですが、これはとても大切なこと。引き続き学生の皆さんと議論を重ねていけたらと思います。

NTTデータソーシャルデザイン推進室 課長 森田寛彦氏よりコメント
 NTTデータ ソーシャルデザイン推進室では、課題先進国である日本の競争力を高め、サステナブルな社会を実現するため、社会課題を起点とした異業種連携ビジネス創出に取り組んでいます。今回、学生の皆さんにも社会課題解決ビジネスの提言に挑戦いただきました。一人ひとりが社会課題と真剣に向き合い、ビジネスとして社会価値と経済価値を両立するためにはどうすべきか。仲間と議論する過程で得た様々な学びや気づきをもとに、ご自身が本気で取り組めることを見つけ、専門性を磨き、将来のキャリアを切り拓いていってほしいと思います。

全チームのブースに毎回ゲストが巡回。学生は発表と他チームの参観とを交代しながら計5ラウンドを体験。


クラス全体で発表をふり返り、ゲストよりコメントをもらう。


プレゼンテーションを終えてゲスト皆さまと学生と全員で

注)
1)株式会社NTTデータ ソーシャルデザイン推進室(ホームページより引用)
 ソーシャルデザイン推進室は、Smarter Societyを実現するために、これまでNTTデータが多くのお客さまと培ってきた知見や豊富なアセットを活用し、業界を超えて企業や行政をつなぐことで、共創パートナーの皆さまと新たなエコシステムを構築し新規事業を創出。

株式会社NTTデータ ソーシャルデザイン推進室 公式ホームページ
https://www.nttdata.com/jp/ja/ignite/socialdesign/

2)「プロジェクト演習〈企業提案〉」概要(シラバスより引用)
 本授業では、学生が、よりよい社会を実現するためのソーシャルデザインについて学び、企業の有識者へ提案する。その過程で、「働くことを通した社会への貢献」を追究することが、本科目の目的である。授業では、株式会社NTTデータソーシャルデザイン推進室(敬称略、以下;NTTデータ)の社員を招聘し、NTTデータが社会をどのようにデザインしようとしているか、企業?社会?個人が成長していくためのビジネスの仕組みについて学ぶ。その学びをベースに、学生は、「よりよい社会を実現するためのイノベーティブなアイデア」を提案し、フィードバックをもらう。(中略)。昨今、企業では、SDGsを達成するためのESG経営が推進されている。一方で個々の働き方も進化し、人々は単に利益のためだけでなく、個人の貢献が社会にどのようにインパクトを与えるかを考えながら仕事をする時代となった。本授業ではこのようなビジネスキャリア、ワークキャリア、ライフキャリア、ソーシャルキャリアに関して、体験と対話を重視しながら、自らの「働くことを通した社会への貢献」を追究していく。
プロジェクト演習〈企業提案〉シラバス

3) 屋台村形式
 学生は交代で自らチームの代表としてブースを任され、全チームが同時に計5ラウンドのプレゼンテーションを行った。ゲストとプレゼンター以外の学生はブースを巡回し、ブースに集まった全員が対話をしながらアイデアを発展させていく。

文責 勝又あずさ(成城大学 キャリアセンター)