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  • 2025.07.03

    2025年度Seijo Career Program(SCP)レポート: 他者と関わり自らの強みと人間力を磨く科目「キャリア?ベーシックⅡ〈自己表現〉」

 成城大学キャリアセンターでは、2025年度に新カリキュラム「Seijo Career Program(SCP)」1)がスタートしました。自己を探究し、自己を表現し、他者との関係を構築していく「キャリア?ベーシック」(3科目)は、他者と関わり自らの強みと人間力を磨くことをテーマに開講しました。今回は「キャリア?ベーシックⅡ〈自己表現〉」2)の様子をレポートします。

キャリア?ベーシックⅡ〈自己表現〉(科目担当:吉田梨乃先生)

他者とのコミュニケーションを通して、自己を開き、表現することを体得する

授業の様子

 「表現は、個人で完結するのではなく、自分と他者の間にあるもの」というコンセプトのもと、毎回グループワーク形式で授業を進めています。学生は初めのうちは人前で発言することに緊張が感じられましたが、授業の回数を重ねる中で、他者を知り他者の反応を心地よく感じながら発言できる雰囲気に変化しています。授業を通して自分や他者の変化を感じることができるからこそ、自分の新たな一面へチャレンジができています。将来の進路はさまざまですが、どのような進路でもベースとなる表現の仕方を養っています。
授業の中盤では、学生がチームでワークショップをデザインし、自分たちでファシリテーション(進行)します。ワークショップのデザインにあたり、あらためて「どのような表現を磨きたいか」という問いを立てました。そこから、チームで相談をし、自分たちが必要だと感じる表現を引き出せるようなワークショップをデザインし、ファシリテーションに至っています。教員とは違った視点で設定される学生のテーマには、受講生同士の刺激も多いようです。

ワークショップのデザイン?ファシリテーション?体験?観察?リフレクション

 チーム(4名)を編成しワークショップをデザイン。各チームが交替で、[クラスメイトへワークをファシリテーション]?[他チームのワークを体験]?[その様子を観察]を経験し、リフレクション(振り返り)をします。この過程で学生はコミュニケーション、チームビルティング、ファシリテーションの楽しさを体得し、身につけていきます。

取材当日のチームは伝言形式のワークショップをデザインしファシリテーション。最前列の学生のみ、黒板の答え『おにぎりを盗まれてショックなサラリーマン』を見て、無言で表現しながら後ろの人に伝えていく。

教室では椅子と机を使用せず解放された場を全員でつくる。ワークショップの意義(学ぶよろこびや楽しさなど)を実践者、体験者、観察者、それぞれで経験し意味づけて共有する。

学生のコメント(一部改編)

自分に対して
?他のチームのファシリテーションには自分が参考にしたい部分がたくさんありました。また、参加者の立場に立って考えることの大切さを感じました。
?きょうは自分たちがデザインしたワークショップをファシリテーションした。大人数をまとめたり、動いてもらうことは、想像していたよりも難しいと感じた。
?みんなにわかりやすく説明しようと心がけたが、前に立つと緊張してしまい言葉がうまく出てこなかった。そんな中でもしっかり聞いてくれている人がいて励みになった。
?いつもは自分がアクティビティをする側だが、観察役をやってみると、そのチームの工夫点や、ファシリテーションの努力が見られて、いつもとは違う視点から見られて面白かった。

他者に対して
?私が話をした時に「私もだよ!」や「すご!」など、共感や反応をもらった。その時に自分の話を聞いてくれている感じや安心感を持ち、緊張せずにすんだ。
?自分が話したことを(チームメイトが)汲みとって、みんなに紹介してくれて、恥ずかしいけど嬉しい気持ちになった。
?身ぶり手ぶりで文章を伝えるワークショップでは、発想力がみんな豊かで、「こうした方がいいんじゃない?」など、色々な案を出してくれた。自分の発想の幅が広がった。

科目担当教員 吉田梨乃先生より

 「自分とは何者か」「どのように生きていくのか」を考える時期に、同年代の学生たちの前で何らかの表現をすることは、多少の恥ずかしさや緊張感があると思います。そこで、視点を変えて考えることができるように、毎回の授業後の振り返りでは、自分だけではなく他者に対する気づきを考える機会を設けています。こうした自己と他者、そして表現をする側と表現を受け取る側、または相手の表現を引き出す側と全体を俯瞰して観察する側の視点を往復する中で、受講生は「ここでなら発表できそう」、「発表してもみんな受け止めてくれる」、「自分の表現に対してこういうリアクションがあった」という気づきを得ています。
 現代の職場では「心理的安全性<sup>3)</sup>」があるかどうかが重視されていますが、それを職場に求めるだけではなく、一人ひとりがこうしたキャリア科目での学びを活かし、ともに活動する人と「心理的安全性」のある場を創っていく力を養ってほしいと願っています。

科目概要

 この授業では、今後のキャリアを考える上で、その土台となる自己表現について学び、体験を通して理解を深めます。特に体験では、インプロ(即興演劇)のアクティビティを取り入れ、予測できない場面でどのように表現するかを実践します。自己表現は自分一人で完結するものではなく、他者がいて成立するものです。つまり、他者との体験的なかかわりを通して学ぶことが可能になります。授業後半では自己表現を目的としたワークショップのファシリテーションや、より柔軟で活動的なチームを作るためのチームビルディングの方法について学んでいきます。

尚、本科目はピアチューター4)として4年生2名が授業のサポートをおこなっています。

注)
1)成城大学のキャリア教育 Seijo Career Program(SCP)
0/career/news/cvt4qu000000h94b.html

2) 2025年度キャリア?ベーシックⅡ〈自己表現〉シラバス 
https://lc.seijo.ac.jp/lcu-web/SC_06001B00_22/referenceDirect?subjectID=202700695702&formatCD=1  

3)参考:エドモンドソン, A.C.(2021)『恐れのない組織——「心理的安全性」が学習?イノベーション?成長をもたらす』野津智子(訳), 村瀬俊朗(解説), 英治出版.

4)成城大学ピアチューター制度
ピアチューター制度とは、自らの得意分野を持つ、一定の研修を受けた学生(チューター)が、学習者である他の学生(チューティー)に対して、質問や模範例示、行動示唆などを通じて、チューティーが自らより良い学習方法やより良い気づき?考え方を見出すことを促す学生相互の学習支援活動のことを言います。このような学び合い?教え合いを通じて、本学学生の相互の学びの効果を高めることを目的としています。
「成城大学ピアチューター第1期生が誕生しました!」より一部抜粋
/news/jtmo42000000hekl.html 

文責?撮影:勝又あずさ(成城大学 キャリアセンター)