
2023年度
研修事業
ASEAN各国における政策立案者向けワークショップ
「ジェンダー主流化」をテーマに行われた2023年度のワークショップ。前回の2021年のワークショップで各国が設定したジェンダー平等を推進する政策策定に向けたアクションポイントを振り返りながら、各国の政策の中にジェンダー課題にアプローチするための施策を入れる重要性と考慮すべきトピックやポイントについての情報提供と各国でのグループワークを実施しました。
情報提供のセッションでは、各国の基本計画とジェンダーに関する計画の繋がりや、成果を評価するための枠組みと評価指標の導入について(スポーツにおけるジェンダー主流化の概念と枠組み)、メディアにおけるジェンダーの主流化について(スポーツにおけるメディアの表現と描写)、ジェンダーに基づく暴力やハラスメントについて(ジェンダーに基づく暴力)専門家から情報提供。各国のジェンダーにおける課題の特定の重要性と、関係組織との連携やメディアの活用の必要性が強調されました。
ワークショップの最後には各国がアクションプランを発表。今後も日-ASEAN間で引き続き連携して活動を進めていきます。

開催国:ハノイ、ベトナム(共催:Viet Nam Sports Authority)
日程:2024年1月10日(水)?11日(木)
テーマ:スポーツ政策にジェンダーの視点を取り入れる
参加者:東南アジア10か国から2名(政府関係者1名、NOC関係者1名)、ASEAN事務局2名
プログラム:
1日目(1月10日)
■ 開会挨拶
ー Viet Nam Sports Authority チェアマン Dang Ha Viet
ー 成城大学 スポーツとジェンダー平等国際bet36体育在线センター 副センター長 野口亜弥
ー ASEAN事務局 Senior Officer of Education Youth and Sports Division Larasati Indrawagita
■ スポーツにおけるジェンダー主流化とジェンダーの課題
ー 成城大学 スポーツとジェンダー平等国際bet36体育在线センター 副センター長 野口亜弥
■ スポーツにおけるジェンダー主流化の概念と枠組み
ー 成城大学 スポーツとジェンダー平等国際bet36体育在线センター 副センター長 野口亜弥
■ 各国のスポーツにおけるジェンダーに関する現状発表
■ スポーツにおけるメディアの表現と描写
ー Global Observatory for Gender Equality & Sport リサーチ?ディレクター Dr. Lombe Mwambwa
2日目(1月11日)
■ ジェンダーに基づく暴力
ー Brenda Matafwali Chipande
■ 国ごとのグループワーク?ディスカッション
■ 閉会挨拶
ー Vietnam Sports Authority Le Thi Hoang Yen
ー 成城大学 スポーツとジェンダー平等国際bet36体育在线センター 副センター長 野口亜弥
ー スポーツ?フォー?トゥモロー?コンソーシアム事務局(独立行政法人日本スポーツ振興センター内)佐藤翔
ワークショップの詳しい内容は以下からご確認いただけます。
/news/jtmo42000001er08.html
調査事業
女性および女児のスポーツ参画における課題とニーズ
ASEANスポーツ五か年計画2021-2025(ASEAN Work Plan on Sports 2021-2025)において、ジェンダー関連事業の抑えるべきポイントとして①Leadership、②Accessibility、③Safetyの3点があげられています。調査事業では、女児や女性がスポーツを始めるうえで、上記の3つの点において①文化社会的、②組織的、③関係的、④個人的に分けて課題を分析を行っていきます。女性がスポーツに参加することにどのような意義があるのか、そして女児や女の子のスポーツ参加を阻害する要因は何かを各国ごとに明らかにすることが目的です。
調査対象国:ベトナム、フィリピン、インドネシア
調査期間: 約3日間
調査対象者:各国政府関係者、NOCや各競技団体関係者、
大学生(女子)、現地NGO団体
◎ベトナム
調査日程: 2024年1月15日(月)?19日(金)
◎フィリピン
調査日程: 2024年1月25日(木)?29日(月)
◎インドネシア
調査日程: 2023年11月26日(日)?30日(木)
※インドネシア政府の希望により政府関係者への調査はなし
インドネシアにおける女性と女児のスポーツ参加に関する調査報告

インドネシアでは、女性のスポーツ参加を阻む要因として、自信の欠如、月経に対する誤解、家庭内での役割期待、「女性らしさ」維持の圧力が挙げられる。家庭内では男性が意思決定者であり、女性や女児のスポーツ参加は保護者や夫の影響を強く受けていることが明らかになった。
組織面では、ジェンダー平等政策の不在、女性に対する暴力、安全な施設不足、予算配分の不均衡、ロールモデルの不足といった課題が報告されている。
一方、スポーツ参加の意義としては、女性の権利保障、ジェンダー規範の変革、健康維持、自信向上、就労機会創出などが認識されている。
ベトナムにおける女性と女児のスポーツ参加に関する調査報告

ベトナムでは、女性?女児のスポーツ参加を阻む個人的要因として、自信不足、家事育児による時間不足、「女性らしさ」(美白維持のための日焼け回避)への期待、スポーツは単なる娯楽という認識がある。
組織的要因としては、ジェンダー平等政策の欠如、女性スポーツへの予算不足、安全な施設の不足、ロールモデル不足、地方での格差が顕著である。
社会文化的には、男性中心のスポーツ文化、メディアでの女性アスリートの過小評価(競技力より「可愛らしさ」重視)、性別によるスポーツの分離がある。
一方、スポーツ参加の意義として、女性の権利保障、地域活性化、ナショナル?プライド醸成、健康維持、美しさの維持、自信向上、女性の地位向上、就労機会創出などが認識されている。
フィリピンにおける女性と女児のスポーツ参加に関する調査報告

フィリピンでは、「スポーツ」と「女性」が連想されにくい状況がある。個人レベルでの阻害要因として、伝統的な「女性の役割」に関する価値観(家事?育児優先、男性支援役割)と経済的制約が挙げられる。特に経済格差の大きいフィリピンでは、「スポーツでは生計を立てられない」という認識から女性は学業を優先される傾向がある。これらの価値観形成には、カトリック教会の影響も大きい。
組織レベルでは、①女性アスリートのキャリア継続の困難さ(特に妊娠?出産後)、②安全なスポーツ空間の不足、③学校体育のジェンダー規範が課題である。男性中心の意思決定システム、女性指導者の少なさ、女性向け施設?用具の不足も問題となっている。
社会文化的には、メディアが女性アスリートを性的対象として扱う傾向や、女性ロールモデルの不足が女性のスポーツ参加を妨げている。
スポーツは万人の権利であり、女性の参加はジェンダー平等促進、女性の能力証明、社会的地位向上に貢献する。また健康増進、キャリア機会拡大、自信?自己肯定感向上、社会的結束促進などの効果がある。地元NGOは特にスポーツを通じたライフスキル獲得や心理的トラウマ改善プログラムを展開している。
情報発信事業
SGEと協力協定を結ぶ、Global Observatory for Gender and Sport (GO)と連携して、国際的な議論の場で本事業について発信をします。また、ASEAN事務局と連携してASEAN各国への情報発信や、日本国内で本事業について発信をします。
2023年6月26日-29日
UNESCO主催のMINEPS VII会議のサイドイベント「Counting the Steps」において、アジアの取り組みとして「ASEAN-Japan Actions on Sport Gender Equality」の事業を発信。

2023年8月30日
日ASEANスポーツ高級実務者会合にて、2023年度の「ASEAN-Japan Actions on Sport Gender Equality」の事業内容を説明し、ASEAN各国から承認を得る。
2023年10月26日
ポストスポーツ?フォー?トゥモロー推進事業再委託事業の受託と「ASEAN-Japan Actions on Sport Gender Equality」について、日本のメディア向けの記者会見を開催。
SGE記者会見
2023年11月27日-28日
Global Observatorry for Gender and Sport(GO)がUNESCOからの協力を受けて開催した関係者会合(パリ、フランス)にて、国際的にジェンダー平等を推進する主要な団体とともにスポーツを通じたジェンダー平等推進の評価指標を検討する議論に参画。本事業についても情報共有。

